巻 頭 言
佐藤 和郎

 本年4月より年10日以上の有給休暇の権利を持つ被用者に対し、5日以上の指定有休を与える義務が使用者に課せられました。私どものような零細な事業所では、少ない人数しかいない為人繰りが大変です。トヨタ自動車のような従業員36万人以上の大企業と同じ法基準を課せられるのが辛いところです。そこで祝日や休みの取り方について考えてみたいと思います。
 かって高度経済の時代に日本人は働きバチ、ワーカホリックなどと欧米より批判されました。それに伴ない祝日の数が次第に増えたと思います。海の日、山の日・・・そのうち川の日(?)空の日(?)も・・・
その後祝日が日曜日の場合、その翌日の月曜日を休日とする振替休日が制定されました。成人の日は1月の第2月曜日(制定時は1月 15日)に、海の日は7月の第3月曜日(同7月20日)に、敬老の日は9月の第3月曜日(同9月15日)に、体育の日は10月の第2月曜日(同10月10日)に変更されました。さすがに春分の日、秋分の日は勝手に変更できません。月曜日ばかり休みが多くなるのは問題です。今年は月曜日の祝休日が年間10日もあります。継続的、計画的な外来診療がやりにくくなります。名古屋市立大学病院は5月6日(振替休日、月)、9月23日(秋分の日、月)は通常通りの診療を行ったときいています。もっとも職員からは歓迎されていないかも知れません。更に2つの祝日に挟まれた平日を休日とする国民の休日が制定されています。東京オリンピックの開催される2020年に限っては海の日が7月23日に、体育の日が7月24日に変更されスポーツの日となり、山の日が8月10日に変更されています。もともと体育の日は1964年の東京オリンピック開会式を記念して制定されたものですが、あまりな変更はその記念日としての意味をなくしてしまいます。
 さて諸外国の事情はどうでしょう。バカンス大国で知られるフランスの祝祭日は年間9日、米国が10日、欧州諸外国は7~9日が多い様です。アジア諸国では日本に次いで香港が13日、シンガポール11日の順です。日本は実に年間17日を数え、世界で一番多い日数となっています。一方、有給休暇はどうでしょうか。フランスでは有休付与数、消化数とも30日で100%消化している様です。日本は付与数20日、消化数10日で取得50%との事です。
 日本人は年末年始、ゴールデンウイークやお盆に多くの人が一斉に休む習慣があるため、他の時期に更に休みを取りにくい事情があるとは思います。働き過ぎの日本人を休ませるためこれまで祝日を増やしてきたところですが、劫って有給休暇が取りにくくなってはいないでしょうか。いっそ祝日休日を半分くらいに減らすと有給休暇が取り易くなるのでは・・・と妾想にふけっているところです。

※祝祭日の国際比較に関して経済ジャーナリスト宮田健氏の論考PRESIDENT
2017年5月15日号を参考にしました。

愛知県外科医会会報_第116号のサムネイル