巻頭言

<人類は滅ぶのか>

佐藤 和郎

「人類は滅ぶ可能性がある」NHKスペシャル「シリーズ人体Ⅱ遺伝子」での山中伸弥さんの言葉です。遺伝子やゲノムは山中さんの研究テーマですが、中国の漢民族の顔の再現の研究(DNAから顔の形を予測する技術)にそこまで進んでいるのかと驚いたそうです。また、近年のゲノム研究の進展は著しいものがあります。2019年中国の科学者がゲノム編集技術「CRISPR-Cas9」を用いて世界初の遺伝子操作ベビーを誕生させたと発表しました。WHOはこれに対して警告を発していますが、研究の進展のスピードが速すぎて一歩間違えるととんでもない事になると危惧されます。「人類は、1000年後、1万年後もこの地球の生物の王として君臨していると思いがちですが、自明ではありません。1万年後、私たちとは全然違う生物が、地球を支配していても不思議ではありません。」ゲノム編集が進み過ぎると、とんでもない予期せぬ結果を人間自身がもたらすかも知れません。

現世人類は約20万年前に出現、その後各大陸に進出し、その人口は増加しています。紀元前8000年頃500万人、西暦紀元元年頃3億人、20世紀以降急速に増加。1964年東京オリンピックの標語応募に〝30億の拍手″というのがありました。2018年77.5億人と推計されています。人類は殖え過ぎ、森林原野など自然破壊、化石燃料の消費で地球は温暖化、氷床の融解、海面上昇、台風の強大化・・・。自然災害は実は人間の活動の結果の人為的災害とも言えます。人類が自分の乗っている母船である地球上の生存環境を悪化させている訳です。

人類は滅ぶのかを考えると、昔読んだ手塚治虫の漫画を思い出します。「火の鳥」未来編です。

以下はその概略です。

西暦3404年地球は急速に死にかかっていた。地表は荒れはて人類は一切を地下へ持ち込んだ。世界は5カ所の地下都市に生き残っており衰退していた。そのうちの地下都市ヤマトでは電子頭脳ハレルヤに統治されており、レングードでは聖母機械ダニューバーという超巨大コンピューターに統治されていた。あるとき両者がやりあい、人類滅亡に至る戦争を引き起こす。直前にヤマトを脱出した人類戦士ロックは、ひとり地下都市を離れて永遠の生命の研究に没頭する猿田博士のもとに辿り着く。あと一時間で戦争と告げられた猿田博士

「なぜ機械のいうことなどきいたのだ!

なぜ人間が自分の頭で判断しなかった。ええっ?」

電子頭脳の奴隷だと言われたロック

「おれはハレルヤの子供なのさ。きみとちがって俺は体外受精でチューブの中で生まれたんでね。おれを生んだ精子と卵子をえらんだのはあのハレルヤなんだ。だからまァ おフクロみたいなもんさ。」

その後ヤマトとレングードだけでなく、他の3つのメガポリスも巨大なキノコ雲の下、同時に爆発して滅んでしまった。

さて、人類は滅ぶのか。

愛知県外科医会会報_第119号のサムネイル